|
||
河上:野井さん、途中なんですけど、東京に帰らないといけないお客さんが居られて、作品を買っていただいているんですが、サインをいただけないでしょうか。マジックあるかな。 野井:あ、ありました。どうぞ気をつけて帰って下さい。ご苦労さんです。 河上:野井さん、誰にでもご苦労さんですよね。会ったときも別れるときもご苦労さん。 野井:ご苦労さんという言葉はなんとなくぽっと出てしまいますね。相手の気持ちを尊重するような言葉かなあという感じするんです。お疲れさんというよりもご苦労さんていう。最近高校生でもね、別れ際にお疲れさんとか言うじゃないですか。お疲れさんというのは、ほんまに疲れた時に癒す言葉やと思うんですけどね。 河上:野井さんの物真似するときは、ご苦労さん、ってやるんですよ。 野井:僕は淀川長治さんの、はい、またお会いしましたね、というあれが好きでね。 (3回ほど続けて物真似/会場笑) 面白い方でした。橋本さんはなんか最近おもろいことありましたか? 橋本:え?なんやろ。河上君なんか言って。 河上:橋本さんはいまめっちゃ忙しそうですが、僕らが見に行けるような完成間近の建物などはありますか。 橋本:それはまた別の機会に発表できたらいいかな。最近は建物に対しての思いが僕の中で大きく変わってきて、発表することをあんまり意識せずにやってますね。その方が僕自身やりやすいというか。 河上:阪急茨木市駅の方の「たこびーの」(2012/*51)というたこ焼きとワインの店は橋本さんがデザインされていますね。 橋本:店のデザインだと、他には大阪・伊勢丹の「高麗橋吉兆」(2011/*52)もそうです。 河上:なんば高島屋の「高麗橋吉兆」(2010/*53)も橋本さんのデザインですね。 橋本:あれは僕としての和の表現なんですが、僕はカルロ・スカルパ(*54)とかジオ・ポンティ(*55)も好きで、その影響もちょっと出ているかもしれません。様式美ではない和、というか、僕の持っているものを無理せず出したいと思ったんです。伊勢丹の店には「吉兆」の社長がずいぶんヒヤヒヤなさってましたね。それまでの店がほとんど数寄屋造りばっかりやったんで。叩いたアルミの柱で林を作ったからびっくりされました。でも緊張感があっていいなあ、と仰っていただいたので良かったです。 河上:どちらもすごくいい空間なので、みなさんぜひどうぞ。 橋本:百貨店なので、そんなに高くないですから。 河上:野井さんの今後の展望はいかがでしょう。 野井:最近こういう人が集まって対話できるきっかけをもらえることがものすごく多くなりました。昔はそういうところに出向くことがあまりなかったんですけどね。やっぱり人って面白いなあと思います。できるだけ積極的に、人のつながりの中に入っていきたいと思ってますね。仕事に結びつくかどうかは別問題かも分からんですけど。 2014年3月8日/GLAN FABRIQUEギャラリー“la galerie”(大阪府茨木市) 出版記念作品展「野井成正 あそびごころ」会場にて 建築家。1959年大阪府茨木市生まれ。合田デザイン事務所を経て1993年に橋本健二建築設計事務所設立。建築設計のみならず、商業施設や舞台装置など幅広い領域のデザインを手掛ける。2000年にアトリエ併設のバー「橋本工務点」でJCDデザイン大賞を受賞。2012年には美船安利とともにミラノサローネ出展。建具パーツやグラスなどのプロダクトデザインを発表し、会場構成を行った。 www.kenjihashimoto.com 空間デザイナー。1969年大阪生まれ。建築設計事務所や店舗デザイン事務所を経て2002年に独立、GLAN FABRIQUE DESIGN WORKSとして活動を始める。2003年に茨木市の築100年を超える木造邸宅を改装し、空間デザイン事務所とギャラリー、カフェを併設した複合施設“GLAN FABRIQUE”をオープン。同時にGLAN FABRIQUE inc.を設立する。空間デザインを中心に、キュレーション、アートディレクションなど多彩な活動を展開している。アートでまちづくりを行う活動体「茨木芸術中心」代表。S.I.P.ディレクター。茨木市若手芸術家育成事業HUB-IBARAKI ART実行委員長。 glanfabrique.com 取材協力と写真:鯵坂兼充(SKKY) 取材と写真:勝野明美(Love the Life) 文と構成:ヤギタカシ(Love the Life) |
||